取引先の決算書は流動比率・自己資本比率・営業CFをみよう。

取引先の決算書は流動比率、自己資本比率、営業CFをみる ビジネス

取引先の決算書を見るときは「流動比率」「自己資本比率」「営業CF」の3つは確認必須!

取引先が自社の顧客であれば、代金が支払えるかどうかは相手の会社の決算書を読むことで判断することができます。

クレジットカードを作るときに年収を聞かれたり、過去に滞納したことがないか調査されますよね??

支払い能力があるか、信用力がある相手かどうかは決算書を読んで判断します。

取引先の状況によって取引の仕方を変える

相手の状況によって取引の仕方を変えることも必要です。

きちんと期日通りに支払える状態の相手とそうでない相手では同じ条件で取引することは好ましくありません。取引する相手ごとにリスクは異なります。

支払い能力のない顧客に掛け売りで商品を売って大損失を出しても、それは見抜けなかった自社の責任ということになってしまいます。

それだけ取引先の会社の数字を知るということはとても大事なことです。

取引先の決算書、ここを見る!(1)流動比率

流動比率を見ることで、短期の安定性を判断することができます。

流動比率は一年以内に支払期日が来る負債(流動負債)と一年以内に換金可能な資産(流動資産)の比率です。

流動比率が低い≒資金ショートするリスクが高い

ということを意味します。

流動比率は流動資産を流動負債で割ることで算出します。

流動比率=(流動資産÷流動負債)×100(%)

例1

太郎は現金で100円を持っています。明日がりんごの仕入れ代金200円の支払い期日ですが100円しかもっていないので支払いができません。

流動資産が100円、流動負債が200円なので太郎の流動比率は・・・

100円÷200円×100%=50%

ということになります。このように流動資産と流動負債の比率をみることで短期的な支払い能力がわかります。

この例の場合、期日通りに半分しか支払いしてもらえないので相手先としては太郎との取引は少々リスクが高いということになりますね。買掛金よりも現金預金が少なくて代金が支払えない状態です。

例2

太郎は200円を現金で持っています。明日がりんごの仕入れ代金200円の支払い期日です。代金は支払えますが支払い後はお金が残りません。

流動資産が200円、流動負債が200円の場合の流動比率は

200円÷200円×100%=100%

ということになります。流動比率100%であれば支払いはできますが、不測の事態があった場合は現金がないので少し心配です。

流動比率の目安は150%以上が理想

では短期の安定性を判断する流動比率はどれくらいあれば安心なのでしょうか?

一般的には120%程度あれば安定しているといわれています。理想としては150%くらいあればより安心です。業種により流動比率の平均にもばらつきがあるので、同業種同士で比較するといいでしょう。

現金商売の場合は貸し倒れのリスクが低いので多少低くても問題ありません。

売掛金や受取手形など債権が多い場合には流動比率は高めにしておいたほうが安全です。

流動比率を高めたければ、固定資産は持たないほうがいい

固定資産を多く持っていると流動比率は下がってしまいます。流動性を確保するために、社有車など自社所有にせず可能な限りリースを使うなどできる限り固定資産を持たないのも手です。

取引先の決算書、ここを見る!(2)自己資本比率

流動比率をみることで短期の安定性が判断できることがわかりました。

次は中長期の安定性を見る指標、それが自己資本比率です。

借りたお金はいつか返さなくてはいけません。そして返したときに運転資金が手元に残らなかったとしたら、長期的にみて不安です・・・。

ということは返済義務のある資金の割合が多いと返済が完了した後に事業が継続できないリスクが高いということになります。

自己資本比率が高い=返さなくていい資金の割合が多い

総資本のうち、返済義務のない資金の割合を自己資本比率といいます。

貸借対照表でいうところの右側の純資産の部の割合が自己資本比率です。

自己資本比率は自己資本が総資本に占める割合で算出します。

自己資本比率=自己資本÷総資本×100%

取引規模が大きくなると自己資本比率は下がる

自己資本比率が高い会社は長期的に安定した経営がしやすいとみることができます。

会社がもうけを出すためには運転資金が必要です。経営に必要な資金を自己資本でまかなうことができれば借り入れが不要なので経営の安定感が増します。

その反対に、総資産の中に自己資本が少ない状態は返さなくてはならない借入金が増えているので返済が進むほど資金繰りが厳しくなってしまいます。

自己資本を増やす近道は株主資本を増やすこと(増資)です。

しかし非上場企業はこの手段が使えませんので、銀行などから借り入れをして使える資金を増やすことになります。それが自己資本比率を低下させるよくある原因です。

自己資本比率の目安は、だいたい40%

資本金が多かったり、いわゆる無借金経営の会社であれば自己資本比率がかなり高くなります。しかし借り入れにより、資金を調達して短期間の間に事業を拡大させるということが功を奏する場合もあります。

堅実すぎても成長の機会を逃す場合もあり、一概に正解がないのが経営の難しいところです。

自己資本比率の理想は40%といわれることが多いですが、現実的には15~20%があれば特段問題ないといえます。

取引先の決算書はここを見る!(3)営業キャッシュフロー

損益計算書で利益が出ていても、営業CFがマイナスという場合があります。

急激な売り上げの伸びに対して手元のキャッシュ(現金)が間に合わなくなってしまうことがあります。

利益がでる⇒資金繰りが大変になる⇒利益に対して税金がたくさんかかって資金繰りがますます大変に・・・

こんな悪循環に陥ってしまうこともあるのです。

営業キャッシュフローが+、PLはマイナスの場合は

もしもPLで赤字でも営業CFがプラスになっていればいいのかというと、キャッシュフローもマイナスよりはマシというくらいで、良い状態とは言えません。

赤字であるにもかかわらず、キャッシュフローがプラスということは、未来の資金がショートすることも考えられるため全く安心できません。銀行が企業の融資を判断するときに2期連続赤字だと途端に嫌がられるといわれるのはこのためです。

損益計算書で営業利益がマイナスということは、すべての取引を即日現金のみでおこなっていたら営業キャッシュフローもマイナスになります。あくまでキャッシュフローは一時的なものです。

理想はあくまで損益計算書でも営業キャッシュフローでも黒字(プラス)ということです。

キャッシュフローについてこちらでも解説しています。

取引先の決算書「取引開始時だけでなく、定期的なチェックが超大事!」

市場環境の変化などで会社の数字が悪化してしまう場合もあります。

大事な取引先には遠慮せず取引開始時に定期的に決算書を確認させてほしいと申し入れるべきです。

取引先の決算書を簡単にみるなら「帝国データバンク、東京商工リサーチ」

時と場合によっては取引先に面と向かって「決算書を見せてほしい」と言いにくい場合もあると思います。

また決算書を渡されても、どこを見たらいいかイマイチわからないということもあるでしょう。

そのような場合は、信用調査会社から調査データを取り寄せるのがおすすめです。

有名どころだと「帝国データバンク」 「東京商工リサーチ」です。

大企業と取引している会社だと、このような信用調査会社のデータバンクに決算書データがあることが多いです。

この2つのサービスは調査員によって電話でのヒアリングや、現地でのインタビューなどを通じて企業診断のプロがレポートを作成してくれます。

調査員レポートは文章や数値だけでなく、表やグラフなど視覚的にもわかりやすく様々な角度からレポートしてくれています。

またさらに直感的にわかりやすくするため総評として信用スコアもつけてくれます。帝国データバンクの場合だと50点を越えてくると優良企業、40点以下だと少し不安というイメージです。

調査済みのデータがない場合は新規調査を依頼することができます。データがすでにある場合も新規調査の場合でも会員登録を行い有料で取り寄せることになります。

調査済みでデータがあればPDF形式で即時ダウンロードできます。

新規調査を依頼する場合は最短2週間〜通常2ヶ月ほどです。急ぎの場合は追加料金を支払うことで2週間程度で納品してくれます。

もし自社に調査依頼がきたら・・・「決算書は正直に開示したほうがいい」

信用調査会社から取り寄せた決算書データは、あくまで任意で調査先の企業から提供を受けたものなので税務署に提出している決算書とは全く別であることがあります。

決算書を提出を断られるケースもあるようで、口頭で「前年の売上、利益はこれくらい」と言っているだけのこともあり、あまり参考になりません。

直近3年の決算情報についてキリのいい数字ばかり並んでいたらほとんどの場合、真面目に回答していないケースとなります。

「何か隠しているのでは?」という印象を相手先に与えてしまうため、できる限り開示したほうがよいでしょう。

 

コメント